長い間、放ったらかしにしていた Baby-G (ベビージー )が点灯しなくなっていました。
外装を眺めても 黄変気味な感じはあるもののキズ等なく使用感ほとんどなし、有効活用の為に修理することにしました。
今回 修理する腕時計
CASIO BABY-G BGR-270
CASIO ( カシオ ) Baby-G BGR-270 、かなり古い タフソーラー ( Tough Solar )、10気圧防水 ( 10BAR RESIST )モデルです。
ゴールド 金 系なのか、黄ばんでしまったホワイト 白 なのか、カラーは思い出せません、ただ実物は違和感なく使える感じ。
グーグルで検索してもあまり有用な情報がヒットしません。
かろうじて2004年くらいのモデルということがわかりました、今から18年くらい前です、もはや全く憶えていない。
タフソーラーモデルが ずいぶん昔からあったということについてはあらためて認識しました。
電卓がそれよりもずっと昔から太陽電池と電池を併用する製品があったので既存技術の応用と言えばそうかもしれません。
そういえばCASIOは電卓のメーカーでもあります。
長らくケース内の暗室状態で保管されていたので おそらく電池の 劣化寿命 による 電池切れ で動作しなくなったと思われ、電池 ( バッテリー )を交換してみることにしました。
タフソーラー とは
タフソーラー技術とは、CASIOのホームページには、
太陽光はもちろん、蛍光灯などの光を動力に変換するカシオ独自のソーラー充電システム。
わずかな光でも発電可能な小型ソーラーパネルと内蔵の大容量二次電池を組み合わせることで電力消耗の激しい各種機能をストレスなく駆動させる。
省電力LSIとパワーセービング機能を併用することで駆動時間の長時間化を実現。
との説明があります。
明るいところでの使用時は太陽電池でバッテリー充電・駆動、暗いところでは充電された二次電池で駆動。省電力回路も相まって長時間駆動が可能といったところです。
古くから存在した技術ですが、シュリンク化(小型化)や省電力化が技術革新の要でしょうか。
電池交換作業
はじめに
防水機能、防塵機能を持つ時計は電池交換するために解体することにより、その能力が低下あるいは無効になる可能性があります。
本記事では最終的な工程でグリス使用による対応を実施していますが、防水テストを行って能力を確認したわけではありません。
自身での交換はそのようなリスクがありますので実施される場合は自己責任でお願いします。
古いモデル、値段が比較的安いモデル、防水性能がそこそこのモデルのために自身で修理を行います。
逆に価値が高い、高価、防水性能が高い時計であれば時計店 店舗 へ持っていきます。
Baby-G の特定モデルの 例ですが Baby-Gの他モデル、G-SHOCK ( ジーショック )にも応用は利くと思われます。
必要工具類
BGR-270の電池交換で使用した工具、精密ドライバ、バネ棒外し、クリップ。
精密ドライバは裏カバーのネジの脱着、バネ棒外しは時計バンド類の脱着等、クリップは時計のリセットで使用。
これら以外にはシメの防水処理として シリコングリス とビニール手袋又は指サック。
使われている電池を調べる
BGR-270はタフソーラーモデルなので電池には充電が可能な二次電池が使われています。
まず分解して使用されている電池の型番を調べました。
裏面カバーの取外し
下図内赤丸のネジを4本取外す。
バネ棒外しで バネ棒先端を押さえつつ 時計バンドのカバー金具を取外す。
(ちなみに時計バンドのカバー金具を取外した後、 シャフト をバネ棒外しで押し出して取り外すと時計バンドを外すことが出来る)
バンドの金具は両方取り外す。
裏面カバーは時計バンドを真っ直ぐに開き気味にすることで裏面ケースの上に載っている部分の影響が無くなり外すことが可能。
下図内赤丸部には スプリング があり、赤四角部分には金属 バネ があり触れないようにする。
※スプリングは外れるので誤って無くさないようにする
下図は上図内のゴム パッキン 2をめくった状態。
下図内赤丸部にはスプリングがあり、赤四角部分には金属バネがあり触れないようにする。
電池には コイン形リチウム二次電池 CTL1616 が使用されていることがわかった。
タフソーラーではソーラーセルで発電された電気を内蔵電池に充電しますので充電が可能な二次電池が採用されています。
基本は同じ品種の電池を交換します。
サイズが同じだからと言って一般のコイン型リチウム電池(一次電池)を使用しないようにご注意ください。
電池交換
CTL1616 の手配
充電が可能な二次電池ということで値段が高いです。
しかもこの電池のメーカーはパナソニック ( Panasonic )しかない模様。
某ECサイトで購入しました、相変わらず商品サイズに合っていない包装箱です。
時計屋さんでの電池交換は電池の価格が高いので、費用 ・ 料金 はその分高くなると思います
電池交換
ゴムパッキン2を取り外した状態から続行。
シールを取り外した下に交換前の電池があります。
電池はステンレス(SUS)製の電池カバーで閉じられていますが、その電池カバーは赤四角部分の樹脂部分に引っかかって固定されている状態です。
赤矢印部分の隙間にネジ棒外し(Y型の方)又は針、釘状のもので樹脂部分との引っ掛かっているSUS部を開くようにして電池カバーのロックをフリーにします。
電池カバーのロックをフリーにするとカバーが応力で開く。
時計本体を傾けて古い電池をスライドさせるようにリリース。電池下の白い絶縁シートが一緒に外れたら元の位置に戻す。
単三や単四の乾電池を入れっぱなしのような液漏れは無く、内部はきれいな状態。
新しい電池を同様にスライドさせるように装着して電池カバーを閉じて、ロックをかける。
電池カバーのロック部が樹脂部に確実に引っ掛かった場合はカチッと感触が伝わる。
電池交換後にディスプレイ表示が つかない 、時計の動作がおかしい・動かない等の誤動作の為と思われるが、コーションシールに記載されているように AC ( ALL CLEAR )部基板チェックパッドとマイナス(-)を適宜変形させたクリップなどで2秒間ショートさせて時計の リセット ( RESET )操作を行う、時計内部のLSI ( IC )にリセット信号を入力する操作に相当。(出来れば時計のディスプレイを見ながら)
AC部基板チェックパッドは下図内右側の赤丸部、マイナスは(ー)と示されているSUS板内であれば同電位なのでどこでもよい。
とりあえず動作したので安心。
防水処理 と 組立て
ゴムパッキン1や時計本体の白いプラスチック部分等にグリス痕など(変色等)が無いので、このレベルの時計には特別な防水処理は施されておらず裏面カバーをパッキンを挟んで押さえつけているだけといったようにも判断できる印象。
- 裏面ふた、時計本体をアルコールで湿らせた綿棒や布等で脱脂清掃
- ゴムパッキン1にシリコングリス適量を塗布
ビニール手袋や指サックを着用して行うとゴムに対する滑りがよく作業しやすい。
塗布しすぎは次に分解した時の状態がこわいのでほどほどに。 - 時計本体の凹状の溝に沿ってゴムパッキン1をセット
- 裏面蓋を時計本体の真上から静かに置き押さえつけて(スプリングの反発でフタが浮くため)、ネジ止め。
時計バンドを取り外した逆の順番で取付けて元通りに組み立てる。
時刻合わせ 等の設定を行い、完了。
交換した内蔵の2次電池は既に充電のコンディションが良好な状態です。
その他
時計の使い方を知りたい時
時計合わせの設定は経験的にと言いますか、適当にトライしていると徐々にわかってくるのですが、時計が持つ機能やその他の操作はやはり取扱説明書が欲しいところです。
CASIO ホームページの CASIO 取扱説明書 | 時計 ページで探すことが出来ます。
時計のモデル名を使用した検索では出てきませんでしたが、そのような場合はモジュール番号での検索をおすすめします。
時計の裏面カバーに四角で囲まれた4桁の数字があると思いますが、これは時計のモジュール番号と呼ばれるものです。
BGR-270 のモジュール番号は 2616 と読めますので、先ほどのページで検索すると モジュール番号2616の取扱説明書を入手することが出来ます。
時計の使い方自体は時計モジュールの使用方法で充分役立ちます。
おわりに
年代もので動かなくなってかなりの年月が経過したBaby-G、故障 とまでいかず 電池交換だけで動作してくれて助かりました。
細かい作業にはなりますが、工具類と適切な電池が用意できればケースバイケースで対処することが出来ます。
記事中の注意点にもありますが、くれぐれも高価、レアな時計は迷わず時計屋さんに任せましょう。
修理を終えたBGR-270については子供が使いたいというので渡しました。
最後までご覧いただきありがとうございました。